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【トイレ動作】在宅復帰に重要なトイレのアセスメント項目

リハビリnote

こんにちは。
作業療法士のゆうです。

本記事のテーマは『自宅復帰に重要なトイレの評価項目』です。

入院中の患者さんと家族の会話でこんな話が聞かれることは少なくありません。

患者Aさん
患者Aさん

もう退院したい。
早く家に連れて帰って。

Aさんの娘
Aさんの娘

そんなこと言われても。
まだ歩けないし、トイレも一人で出来ないでしょ?

わたしトイレのお手伝いなんて出来ないわよ!
せめてトイレが一人で出来るようにならないと。

Aさんの娘
Aさんの娘

お家に帰るのはトイレが一人で出来るようになったらね。
しっかりとリハビリ頑張って。

患者さん
患者さん

困った…

こんな会話がきかれます。

高齢者や脳梗塞による片麻痺の患者さんが
自宅復帰するために重要な条件の一つとして

トイレ動作の自立

が挙げられます。

トイレは他のADL動作とは異なり、毎日複数回行われる活動です。

トイレ動作は沢山の要素を必要とするため、転倒し怪我にも繋がりやすい活動です。
また、他のADLと比べても排泄の失敗は、自尊心を傷つけやすく、強く心理面に影響します。

そのため、リハビリ場面では患者さんのニーズとして、『“1人”でトイレに行けるようになりたい』と言われることが少なくありません。

家族にとってトイレ介助は、
特に介護負担が大きくなる活動です。

・何度もトイレに連れていくのが大変
・転ばれるのが怖い
・(移乗動作で)身体を支える時に、(介護者の)腰が痛くなる
・夜中のトイレ介助で寝不足になる、生活リズムが乱れる
・トイレの失敗で洗濯が大変
・家族だからこそ汚物処理に抵抗がある

などと言った理由により、家族から自宅復帰するなら「せめてトイレは自立してほしい」といった声がきかれます。

本人・家族にとっても自宅復帰に重要なトイレの課題について解説していきます。

自宅復帰に必要なトイレの評価項目

トイレの評価は本人が「トイレに行きたい」って思ってから「後始末をする」までの行為を確認していきます。

大きく分けると7つに分けられます。

トイレでの排泄
①尿意・便意の有無
②尿意・便意のコントロール(我慢・下剤)
③トイレまでの移動
④移乗動作
⑤下衣の着脱
⑥清拭動作
⑦後始末

一つずつ解説していきます。

①尿意・便意の有無

尿意・便意の有無を確認します。

✅排尿・排便の時間
✅尿意・便意の有無
✅(トイレ)での排尿量
✅失禁(パット・オムツ)

他に水分摂取なども把握出来ておくと良いです。

参考:排尿チェックシート(PDF)のダウンロード

尿意や便意の感覚が乏しくなっている場合、オムツやパットは必要になってきます。
ただ、排尿や排便の頻度や時間間隔など行動を把握しておくことで、失禁予防に繋がります。

ゆう
ゆう

自立あるいは要介助(声掛けなど)の分かれ目は、
自己管理できる能力があるかが重要なポイントになります。

②尿意・便意のコントロール(我慢)

尿意・便意のコントロール(我慢)ができるかの評価を行っていきます。

尿意や便意があったけど、トイレの便座に座るまで間に合わずに失禁…
という場合もあります。

ここでは失禁したことが問題ではなく、
失禁した後の処理や着替えが自分でできるか、介助が必要になるのか
が大切な評価項目となります。

もちろん失禁対策も必要です。
在宅復帰を目指すための対応策としては以下のようなことを提案します。

トイレまで間に合わない場合の対応策

・トイレまでの導線を整える(障害物を避けておく、ベッドを近づけるなど)
・着脱しやすい服装を選ぶ
・排尿パターンや水分摂取との関係性を把握し、定期的にトイレに行く
・尿器や安楽尿器を使用する
・ポータブルトイレを使用する
・トイレ動作指導を行い、最も楽に行える方法を提案する
・オムツやパット、着替え、ゴミ箱をわかりやすい場所に設置する

看護師
看護師

トイレの回数が多かったり、失禁を繰り返すと、水分摂取を控えてしまう方が多くいます。心理的な面に配慮しながら、水分摂取を控えてしまわないように関わっていく必要があります。

③トイレまでの移動

トイレまでの移動を一人で安全に行えるかをアセスメントします。
特に夜間はふらつきが強くなるため、看護師や介護士の協力が必要不可欠で、
リハビリ職種はアセスメントを依頼する必要があります。

在宅環境と介護力、安全性を踏まえ、退院してからの移動手段を
歩行もしくは車椅子
に決めなくてはいけません。
ただ、家族によっては、トイレまで連れて行くのはいいけど
トイレ介助はちょっと…という方もいるので、どの方法が良いのかは相談になります。

評価の具体例を解説します。

歩行の場合

【自立】
・環境を整える必要がない(手すりや杖など福祉用具が不要)
・杖や歩行器が必要
・手すりや壁の伝い歩きで、移動が可能

【介助】
・家族の支えが必要

【夜間】
・自分で電気をつけられる
・段差に蛍光テープをつければ、気をつけることができる

車椅子の場合

【自立】
・車椅子操作が行える
・車椅子で移動できる部屋の広さがある

移動が困難な場合

【自立】
・尿器や安楽尿器の使用する
・ポータブルトイレを使用する(移乗動作が可能な場合)

一日の評価になるので、組み合わせて行う必要があります。

ゆう
ゆう

夜間に転倒リスクが高い場合には
日中はトイレで排泄を行い、夜間はポータプルトイレを使用する
といったケースも少なくありません。

④移乗動作

移乗動作は主に2種類あります。
①ベッド⇔車椅子
②トイレ⇔車椅子

他にポータブルトイレを使用する場合は
③ベッド⇔トイレ
のアセスメントが必要です。

特に転倒の可能性が増えるのは車椅子を使用する場合です。
確認するべきは以下の点です。

・ベッドやトイレ上での座位は安定しているか
・立ち上がりや着座に手すりが必要なのか
・着座はゆっくりと座れるのか

・車椅子のブレーキはかけ忘れをしないか
・立ち上がる際にフットレストから足の下ろし忘れがないか

身体機能と認知機能の評価が必要ですが、
認知機能が保たれていれば、安全性はぐっと高まります。

看護師
看護師

車椅子のブレーキをすることやフットレストの上げ下げはとても大事な項目なので、日頃から促して習慣づけをしていく必要があります。

⑤下衣の着脱

下衣の着脱は本人が自立したい動作の一つです。
また、家族にとってできるだけ自立してほしいと願っている動作となっています。

どんなに仲の良い家族でも、申し訳ない気持ちが強くなってしまい、心理面への影響もみられます。

下衣の着脱は転倒につながる動作の一つです。

しっかりと立位バランスが安定していれば良いのですが、尿意などで急いでいるとふらつきに対してのコントロールが困難になってしまうこともあります。

そのため、立位バランスに不安要素があるなら、何らかの方法を提案していく必要があります。

トイレ動作の自立を目指すために、以下に代償動作の具体例を紹介します。

下位の着脱方法の提案

立位での方法
・片側の手で手すりをつかみながら、もう一側の手でズボンの上げ下ろしをする。
・手すりや壁に寄りかかりながら、ズボンの上げ下ろしをする。
・便座に足を当てて体を安定させながら、ズボンの上げ下ろしをする。

座位での方法】※座位が安定していることが条件
・便座に座りながら、片側ずつ臀部を浮かせてズボンの上げ下ろしをしていく。

身体・認知機能によっても、どの方法が良いのかは異なります。
相談しながら色々提案できるようにしておくことが大切です。

ゆう
ゆう

最初から代償手段の獲得を目指すのではなく、
最終手段として獲得できるかも評価しておくといいですね。

⑥清拭動作

排便をしたあとにお尻を拭く方法は「座って拭くパターン」と「立って拭くパターン」です。

お尻を拭く動作は基本的には「座って拭くパターン」が多かったのですが、動作方法は多種多様です。安全度を高い方法で自立を目指すなら、「座位バランスの安定」が必要です。

⑦後始末

後始末の評価は3つです。
・排泄後にトイレの水を流す
・失禁した場合、オムツやパットの交換、着替えを自分でできる
・排泄後、手洗いをすることができる(もともと手を洗わない人もいる)
上記を評価していきます。

ゆう
ゆう

失禁した場合でも、自分で後始末がしっかりとできれば、自立に繋がる可能性があるので、環境を整えておくことも大切です。

・オムツやパットを捨てやすいようにゴミ箱を設置しておく
・トイレ内に交換用のオムツやパットを用意しておく

復習しましょう。

トイレを自立できるかどうかで、退院後の過ごす場所が決まってくる人が多くいます。

トイレの7つの項目をアセスメントしていく必要があります。

トイレでの排泄
①尿意・便意の有無
②尿意・便意のコントロール(我慢・下剤)
③トイレまでの移動
④移乗動作
⑤下衣の着脱
⑥清拭動作
⑦後始末

・何の項目で介助が必要になっているのか
・どのように環境を工夫すれば良いのか
本人や家族とも話し合い、できるだけみんなが納得する方法を提案できるようにしておくことが大切だと思います。

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