こんにちは。
作業療法士のゆうです。
着替えの動作観察って、どこに着目すればいいんだー!
麻痺もあるし、高次脳機能障害も抱えていそうだし。。。
って、悩みません?
僕よりベテランのリハビリ専門職の人でも、学会発表をたくさんやっている先生でも
臨床での判断を悩む先生は多いと思われます。
患者さんによっても少々は様々で
同じ患者さんでも関わるリハビリ専門職の人によって
評価や介入が異なってしまうことって多いんですよね。
テストバッテリーの道具が揃っている、
検査の時間が取れる
患者さんの協力が得られる
などの場合は様々なテストバッテリーを使用して詳細検査も行います。
しかし、そんな環境は僕が働いたことのある職場にはなかったです。
検査バッテリーは値段が高いものも多く、購入の許可がもらえないこともあります。
そのため、実際のADL動作の観察を行い、問題点の仮説を立て、疑われる障がいの検査を行うといったトップダウン式で介入することが多い人もいるのではないでしょうか?
今回は
僕が勉強会や臨床で学ばせてもらったことを
ポイントにまとめて紹介します。
学生はレポート課題にも役立つこともあると思います。
当てはまらない場合は、違う勉強が必要ですm(_ _)m
悲しいですが早急にサイトから離脱しましょうm(_ _)m
もしくは、他の人にも役立つ視点を追記してくれたら嬉しいですm(_ _)m
更衣(上衣)動作の姿勢
着替えるときの姿勢は!?
前開きシャツの更衣動作は座位や立位姿勢で行われるのが一般的です。
何らかの理由で離床が困難な方は、ベッド上で寝ながら行うことも可能です。
首が座っていない赤ちゃんの着替えを行うときには
寝たまま行うことも多いですよね。
実際着替えられれば、どのような姿勢でも良いのですが、
座位姿勢で指導することが多いです。
座位は立位より安全度が高く、
寝ている状態より体動が少ないので
効率的ですよね。
そのため、この記事では
前開きシャツの更衣を座位で行う際の更衣動作の
動作観察のポイントを解説していくこととします。
また、便宜上、以下の設定をしておきます。
設定①:右側→麻痺側、左側→非麻痺側
設定②:前開きシャツ→シャツやカーディガンなど
座位姿勢
座位で行うなら、更衣動作を観察する前に
座位を保てるか評価する必要があります。
座位が保てないなら、更衣動作以前の問題ですね。
不安定な姿勢は運動も思考も拙劣にします。
例えば、綱渡りの状態で着替えることを想像してみてはどうでしょう?
こんな状態で着替えられますか?
頭は正常に思考できますか?
ほとんどの人は出来ません。
極端に言えば、座位を保てない人はこのような状態と想像しています。
怖いんです。
代償手段として
・車椅子でやる
・座位の介助をしてもらって、更衣動作の評価をする
といったことも可能です。
ですが、サクッと簡単に座位バランスの評価をしておいた方が良いです。
✔重心移動(内乱・外乱)
✔平衡反応や上下肢の押しつけ
など観察しておけばいいですね。
服の種類
どのような服を選ぶかで、難易度が変わります。
「大きさ」、「伸縮性」、「色やデザイン」、「ボタンやファスナーの種類」によっても変化します。
デザイン | 難易度(低) | 難易度(高) |
---|---|---|
大きさ | ゆったりした服 | ピッタリとした拭く |
伸縮性 | 伸びやすい | 伸びにくい |
色やデザイン | 前後・左右の色が違う | 一色(シンプルデザイン) |
ボタン | 大きい | 小さい |
ファスナー | 大きい | 小さい |
失敗体験を減らすためにも難易度の低いものから観察や評価をしていきましょう。
着衣
ここから、服を着る動作の観察に入っていきます。
前開きシャツを着る際の一連の過程は以下のとおりです。
①服の前後・上下・左右・表裏を確認する
②右腕を袖に通す
③反対側へ袖を回す
④左腕を袖に通す
⑤背中の服を下ろして、衣類を整える
⑥ボタンやファスナーをする
人によっては手順や方法など異なる場合もあると思いますが、
着衣は一般的にこの流れで行っていきます。
一つずつ確認していきます。
①服の前後・左右・上下・表裏を確認する
誰もが、不注意で間違うこともありますよね。
ですが、何らかの高次脳機能障害を持っている方は
動作観察をしていると違和感を持つと思います。
✔以下に、動作観察のポイントの例を挙げます。
・服と認識しているのか
・何度も上下左右を確認している
・周囲に気を取られ、更衣に意識が向いていない
・袖の左右を間違う、違う袖に上肢を通す
・一側の上肢のみ袖に腕を通し、反対側は更衣を行わない
などの行動を観察できます。
このような場面がみられたら、以下の症状の評価が役立ちます。
症状が重なっている場合もあります。
一つの問題となりそうな動作に違和感を感じたら、
考えられる仮説を立てて検証していけばOKです。
②右腕を袖に通す
右腕(麻痺側)を袖に通します。ここからは麻痺側の状態によって、動きが異なります。
それでも、着目すべきポイントはありますので、以下に例を挙げて紹介します。
・袖に上肢が入っていないのに、動作を続けようとしている
・麻痺側上肢を袖に通す際に、衣服が引っかかっていないか
・袖を通す時の皮膚感覚に合わせて手指や上肢、体幹、全身の運動がみられるか。
などの行動を観察できます。
このような場面がみられたら、以下の症状の評価が役立ちます。
右腕を袖に通すだけなんですが、実際は常に全身の評価です。
分からないときは難しく考えず、ポイントに着目してみてくださいね。一つずつ視野を増やしましょう。
③反対側へ袖を回す
麻痺側にある衣服を首の後ろから引っ張り、非麻痺側へ持ってきます。
この時の動作観察のポイントを紹介していきます。
・衣服はスムーズに反対側に持ってこられるか
・服が伸びた時の麻痺側上肢や体幹の動きで服のテンションを取ることが出来るか
だと思います。
この運動がみられないと、無理やりやろうとする様子がみられます。
引っ張っている様子に注目してしまいやすいんですが、
動きの無いところはどこか!?
という視点も大切です。
④左腕(非麻痺側)に袖を通す
左腕に袖を通していきます。
左腕を通す際に、体に衣類が引っかかり、衣類は伸びてテンションがかかります。
このときの動作観察のポイントを紹介します。
・服が引っかかっているという感覚があるか。
・引っかかった部分を上肢や体の運動で引っかかりをとる能力があるか。
・無理やり引っ張っているだけ
・袖から左手が出ただけで、動作を終えていないか
などの様子を観察することが出来ます。
このような場面がみられたら、以下のような症状の評価が役立ちます。
着替えは毎日行うもの。
何度か練習を繰り返して、学習や工夫ができるかという評価も忘れずに。
⑤背中の服を下ろして、衣類を整える
両側上肢を袖に通したら、背中に残っていた衣類を下ろして、身だしなみを整えます。
動作観察としては両側上肢とその動きに伴う体幹の伸展活動の様子をみていきます。
しかし、、、
このときは体の動きというより
衣類を忘れずに整える
といった様子を観察出来るかが大切です。
身体機能面の問題より、高次脳機能障害による症状を疑います。
性格の影響がある可能性もあるため、病前の様子を情報収集しておく必要があります。
⑥ボタンやファスナーをする
ボタンやファスナーは巧緻動作能力が必要になります。
身体機能の状態によってはボタンやファスナーの種類の違いで
出来る・出来ないになってしまうこともあります。
場合によっては自助具の使用も検討する必要があります。
明日からのアクションプラン
とにかく何度も何度も繰り返し観察が必要です。
繰り返すしかありません。
動作観察のポイントは3つです。
・動いてるところを観察する
・動いていないところを観察する
・違和感を大切にする
脳卒中による片麻痺患者さんは似たような特徴がありますが、
全く同じように行う人はいません。
セラピスト側も何も分からない状況だと、
全く違和感を感じることがない人もいます。
そのようなときは、各手順のポイントを参考に比較してみてください。
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