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【脳卒中・片麻痺】リハビリ視点の手洗い動作訓練~身体機能への介入目的~

リハビリnote

こんにちは。
作業療法士のゆうです。

手洗い動作は脳卒中の患者さんへのアプローチとして、よく使われるADL動作訓練の一つだと思います。

以前、脳卒中の患者さんのリハビリ場面を
見学しに来ている看護学生の実習生から、こんな質問がありました。

実習生
実習生

リハビリの時間でも手洗い訓練を行っているけど、
看護師のケアで行っている手洗いと何が違うんですか?

看護学生だけでなく、リハビリの実習生にも同じようなことを聞かれることがあります。
同じ手洗いでも患者さんの状態によって、目的は様々です。

以下に、リハビリ(僕の)視点で
手洗いを訓練としてどのような目的で行っているのか
説明していきます。

ゆう
ゆう

色々な目的を組み合わせて介入していますが、
便宜上の理由で目的を分けて説明してきますね。

動作観察でチェックしておきたいポイントを知っておきたい方はコチラをどうぞ
【手洗い動作観察】リハビリでチェックするべき観察のポイント

身体機能への介入

手洗いは日常的に行われている活動なので、リハビリの訓練場面だけでなく
自主訓練としても心理的な負担も少なく
患者さんやご家族への指導にも簡単で使いやすい方法です。

実習生
実習生

片麻痺のある方へ
手洗い動作をリハビリ訓練に取り入れている理由は
どうしてですか?

ゆう
ゆう

身体機能への介入に対して、主な目的は以下の通りです。

手洗い動作訓練の目的

・関節可動域訓練(拘縮予防・改善)
・感覚入力のため
・循環改善のため
・疼痛の閾値を上げるため
・耐久性向上のため
・清潔保持のため

一つずつ、解説していきます。

関節可動域訓練(拘縮予防・改善に)

関節拘縮の代表的な原因は不動によるものです。

障害の程度にもよりますが、脳卒中による片麻痺を呈した場合は、
障害の重症度が高い程、
何らかの活動の際に麻痺側の参加が乏しくなります。

特にブルンストロームステージ(Br.stage)Ⅲの場合の手指は握っている状態が強く、
患者さん自身で手を開こうとしても、中々開いてくれません。

手洗いは石鹸を使用することで、
摩擦抵抗が減り、麻痺側の指と指の間に、非麻痺側の指を通しやすくもしてくれます。

患者さんが自分自身で無理に手を開こうとするより、
手洗いは関節に負担をかけることも少なく関節可動域を広げることが出来る場合もあるのです。

感覚入力のため

脳卒中による片麻痺は感覚障害を伴う場合があり、感覚障害は以下の2種類に分けられています。

・表在感覚(触・圧覚、温冷覚、痛覚)
・深部感覚(運動覚、位置覚、振動覚)

感覚障害に加え、さらに日常的に動かす機会や何かに触れる機会が少なくなった場合、ますます感覚が乏しくなりやすくなってしまいます。

手洗い動作は感覚刺激がとても多い活動なのです。

・流水による触・圧刺激
・流水による温冷刺激
・泡による触刺激
・手洗い中に起こる触・圧覚や運動・位置覚の変化
・タオルよるで触刺激
・手を洗ったあとの手の温度や触った時の変化
など

人は感覚を頼りに運動を行っているので、
感覚入力はとても大事な刺激になります。

麻痺側の感覚障害が強いほど、麻痺側管理が疎かになりやすいので、
日常の自己管理への意識付けへも繋げやすく、
外傷などへの二次的障害の予防にもなっていきます。

循環改善のため

脳卒中による片麻痺を呈した場合は循環障害を伴っている場合が多いです。

不動や運動障害、筋緊張異常、自律神経障害などにより、浮腫などが生じやすくなっています。

手洗い動作や手浴は、血管拡張を促し、循環障害の改善につながります。

疼痛の閾値をあげるため

脳卒中による片麻痺を呈した場合、痛みを強く伴う場合があります。

触・圧刺激や運動刺激に対してとても過敏になり
他の人に触れられることが、恐怖になっていたり
自分自身で触ることさえも嫌がる方がいます。

とにかく動かしたくなくなってしまい、
不動→循環障害→拘縮
などと悪循環に陥りやすくなる場合があります。

手洗い動作では、もちろん痛みが伴ってしまう場合がありますが

・日常的に行っていた活動のため、他の運動に比べて心理的なバリアが外れやすい
・手洗いという活動に集中することにより、痛み刺激から注意を外すことが出来る
・気持ちの良い温度による手洗いは快刺激として入力される

などの理由で、手洗い動作中は、疼痛の閾値が上がりやすい。と考えています。

耐久性向上のため

脳卒中を呈した片麻痺の方が、病院内で手洗いを行なう場面は主に
・車椅子or椅子に座りながら、手洗いを行なう
・立って手洗いを行なう
だと思われます。

手洗いの環境は立位・歩行の状態によって、座るか立位で行なうか決まります。

手の訓練だけではなく、座位の耐久性訓練や立位訓練などとしても使うことが出来ます。

手の清潔保持のため

麻痺のある患者さんの中には、手を握った状態のまま、固まってしまい関節拘縮になる方がいます。
自力で手を開くことが困難なため、手の中は汗や汚れ、悪臭などの衛生面でのトラブルや皮膚障害をおこし、潰瘍やびらんなどが生じます。

手洗いでスキンケアを行なうことで、二次的障害の予防につなげていきます

環境設定によって手洗い動作訓練の効果・目的は様々

環境設定で患者さんへのアプローチの目的は様々です。

・ハンドリングをするのか?セルフで行なうのか?

・姿勢はどうするのか?(車椅子座位・立位など)

・流水の強さや水温はどうするのか?

・人がいない環境で行なうのか?(高次脳機能障害の影響)

など、患者さんの状態に合わせて細かい設定をしていく必要があります。

同じ手段でも目的が異なれば、手洗いの方法が微妙に変わってくると思います。

セラピストが患者さんへの訓練の一つに
手洗い動作訓練を取り入れるのかの判断は
どのように患者さんの評価しているかによって異なります。

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