訪問した時。『いつもと様子が違う!』
訪問看護(リハビリ)は一人で訪問することが多いため、病院勤務と違い、その場で患者さんの様子を見ながらすぐに相談出来る看護師やドクターはいません。
意識レベルの低下が著名であったり、転倒して骨折しているなど明らかに救急搬送が必要だと思われる場合を除いては、判断に悩む人は多いと思います。
一人での訪問でも基本的にはその事業所それぞれに、緊急時のマニュアルが存在するため、そのマニュアルに沿って対応することが望ましいです。
不安はつきものですが、それでも訪問するから救われる患者さんの命や笑顔、家族の安心感など、訪問の良さもあります。
『様子がいつもと違う!』と感じたら、基本的には他のスタッフに相談することは間違いないと思います。
僕の今回の対応は結果的に正解だったと思いますが、救急車が到着するまでの対応や足りない知識など反省することは沢山ありました。
それでも、実例を紹介することで他の方の参考になればと思います。また、より良い対応するための方法があれば助言などコメントを頂ければ幸いです。
事例紹介
簡単に普段の状態を紹介
症例:80代 性別:女性 既往歴:ラクナ梗塞
【自宅での基本動作】
寝返り:自立レベル
起き上がり:自立レベル
立ち上がり:自立レベル
歩行:伝い歩きで自立レベル(転倒リスク有り)
【日常生活動作】
食事:セッティングで自立レベル(配膳準備必要)
トイレ動作:自立レベル
入浴:ヘルパー介助必要
老々介護の家庭
【アセスメント】
主訴:右股関節周囲の痛みが日によってみられるが、著名な増悪なく比較的症状は落ち着いている。
筋力:全身的な筋力低下あり(右<左)
立位バランス低下:片脚立位(上肢支持必要)、バランス反応遅延
四肢末端冷感あり
両側足部に軽度浮腫あり
【認知機能】
見当識・注意力・記憶力軽度低下。日常会話可能。
【日常生活の様子】
メモを残さなくても、簡単な予定などの約束事は覚えている。
服薬は朝はしっかりと内服できているが、夜は曖昧なことあり。
1ヶ月くらい、歩行状態が悪く、転倒が増えていた。
訪問時の様子がいつもと違う。
(午後)に訪問した際に、いつもと様子が違うと感じました。
【第一印象】
意識レベル:クリア。会話はいつも通り。
四肢の軽い脱力感+不随意運動がみられる。
【本人への問診】
今日の体調はあまり良くない。
【家族不在のため、電話確認】
朝から震えがあった
【アセスメント】
JCS:0
問診可能で、質問への受け答えはしっかりしている。
Vital:血圧90台/50台 脈拍70台/分(正脈)
食事摂取しており、薬の飲み忘れなし。
浮腫は両下肢に普段と同じ程度。
脳神経検査:全般的に脳機能低下有りだが、著名な麻痺はみられず。
バレー兆候:全身的な脱力感みられ、両側上下肢ともに保持困難。四肢の振戦みられる。
基本動作:起き上がり困難
訪問前にヘルパー介助により入浴は行えている。
NSに相談し、救急搬送してもらうことに
訪問時、上記の内容をNSへ伝え、救急搬送してもらうことになりました。
救急搬送してもらった理由は普段と明らかに様子が異なることと、利用者さんがそのまま一人でいるには危険が伴うと判断したためです。
救急隊員へは上記のことを伝え、対応してもらいました。
病院受診の結果は『高カリウム血症』でした。
救急搬送され、病院受診した結果、MRIは異常なし。
『高カリウム血症』との診断で、そのまま入院となりました。
もし、あと数時間発見が遅れていたら、そのまま。。。だった可能性が高かったようです。
その日が訪問日で良かったと思いました。
高カリウム血症となった要因は食事でした。
果物を食べることが増えており、それが要因となっていたようです。
退院後
退院後は『生野菜』と『果物』が禁止されました。また、振戦がみられたときのために、臨時薬の処方がありました。
退院当初は食事に制限が出ていましたが、食事の管理が不十分で
少しなら。。。と果物を摂取してしまっていることもあり、時折臨時薬を使用することがありました。
やはり、カリウムを摂取すると、全身的に筋力が弱くなってしまうこともありました。
カリウムをしっかり制限できるようになってからは、転倒がみられなくなりました。
反省点
私の反省点としては食事の確認が不十分でした。
入院前も1ヶ月ほど、歩行状態が悪く、転倒が増えていました。これも食事の影響が現れていたのだと思います。
訪問看護は実際の生活生活状況が良くみえます。病院で勤務していた時とは想像出来ないことも沢山あります。
でも、一つ一つの経験を次回に繋がるように生かしていけたらと思います。