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【食事動作】理学・作業療法士がみておきたい動作観察のポイント

リハビリnote

こんにちは。
作業療法士のゆうです。

実習生
実習生

患者さんの食事場面をみてきました。

でも、どこに着目してみればいいのか分かりませんでした…。
ポイントを教えてください。

最初に僕の場合は言葉の使い方として

観察:食事動作そのものを観察する。(例:左側の物を食べ残す)
分析:観察で問題と感じた動作を分析する(例:上肢機能の問題?視野の問題?注意の問題?嫌いな食べ物だった?)

などの意味で使います。
セラピストによって変わることがあるので、身近な指導者に合わせて使いましょう。

ということで、
今回の食事動作は「分析」ではなく、「観察」のポイントをお伝えします。

リハビリが関わる食事動作の観察は、
患者さんが
食べ物を認識してから「安全に胃に送られるまでを
評価しなくてはいけません。

食事で摂食・嚥下するまでの流れは、5つのモデルに段階分けされています。

先行期(認知期)食べ物を認識し、口に運ぶ
口腔準備期食べ物を取り込んで、咀嚼する
口腔期食べ物を口から、のどへ送る
咽頭期食べ物がのどを通過する=嚥下
食道期食べ物が食道から胃に運ばれる

5つのモデルの中で
特に理学・作業療法士が専門性を発揮したいのは
先行期(認知期)」です。

先行期に問題が生じれば、先行期以降にも影響を及ぼしてしまいます。

そのため、先行期の問題点を把握するために、
食事場面の動作観察でみておきたいポイントが大きく分けて3つあります。

①環境
②認知機能
③食事動作

本記事では上記を深堀していきます。

①環境

食事場面で最初に確認しておきたいことは環境です。

身体・認知機能の低下により、「食事」に時間や介助を要しているような人だったら、環境を工夫してあげることが手っ取り早く、自立に繋がる可能性を持っているからです。

「場所」はどこで食べているのか?

病室

✔個室⇔集団部屋
✔ベッド上で食べている⇔ベッドから足を下ろして食べている

食堂

✔食堂で座る位置
✔食堂の広さ
✔TVのon・off

食事は「誰と」食べているか?

・一人or複数

「セッティング」はどうなっているのか?

・食事のセッティング

✔テーブルの高さ
✔椅子or車椅子
✔椅子の高さ
✔箸orスプーンor介護食器

病棟がADLに積極的に介入していない病院でよく見る光景

よくみる光景なので間違ってはいない感じがしますが、良くもないですよね。
フットレストに足を乗せたままの食事は好ましくはないです。
出来れば、フットレストから足を床に下ろしておく方がいいですよね。

食べやすいと言われている姿勢

1.背筋を軽く伸ばして顎を引き、やや前かがみ
2.背もたれのある椅子に深く腰をかける
3.テーブルの高さは腕を乗せた時に、肘が90度くらい曲がる程度の高さ
4.体とテーブルの間はこぶし一つ分くらい空ける
5.椅子の高さは膝が90度曲がる程度
6.足底は床に設置している

姿勢の要素が含まれていますが、動作観察の際は比較していくと良いと思います。

②認知機能

認知機能はとても大切です。食事場面で認知機能がどのような影響を及ぼしているか動作観察から例を挙げていきます。

覚醒レベル

覚醒レベルは食事場面で特に重要となります。
しっかりと覚醒していなければ、「誤嚥」や「窒息」に繋がる可能性があります。

✔眠っていないか
✔ぼんやりしていないか(刺激がないと眠りやすく動作が止まる)

食事への認識や注意

そもそも食事という認識がない場合や、他に注意がそれてしまい中々食事が出来ないとう例があります。ですが、ここでは分析は行わず、そのままの状態を観察していきます。具体例を紹介していきます。

✔食べようとしない
✔食事に集中しない(他者と話す、TVをみている、家族を探しているなど
✔度々食事動作が止まる。
✔同じものばかり食べ続けている
✔食事のペースが異常に非常に速い
✔一口量が非常に多い
✔左側だけ食事が残っている
✔箸やコップで遊んでいる
✔困った表情をしている

一部の例を紹介しました。
他にも様々な症例がいます。

食事動作

食事動作では「姿勢」や「道具操作(箸・スプーン操作)」、「食事動作」の3つのことが大切になります。

順にみていきます。

姿勢

✔足底は床に設置しているか、
✔椅子(車椅子ならバックレスト)から背中が離れているか

道具操作

✔箸やスプーン操作
✔非聞き手で食器を抑えることが出来ているか
✔道具の使い方は正しいか

食事動作

✔箸やスプーンを使いにくそうにしていないか
✔箸を口に近づけながら、頭部や口元が箸に向かっているか
✔背もたれに寄り掛かったまま食事をしている(頭部しか前方に向かわない)
✔箸やスプーン操作で姿勢の崩れはあるか
✔食事時間で疲労している様子がある

一部ですが、臨床ではこのような場面が見られます。
後の評価で検証していけるように、しっかりと食事場面を観察していくことが大切です。

参考書籍

終わりに

食事は「人生の一つの楽しみの時間」です。
・家族や友人とのコミュニケーション
・美味しい物を食べる
・健康的になる
などの時間に繋がります。

動作観察では問題点を探すことに視点がいきますが、
出来ていること」や「環境を整えれば出来ること」も把握していく必要があります。

動作観察は難しく考えず、まずは
「あれ?」といった違和感を持つことがポイントです。

「あれ?」といった違和感が全くない場合は上記を参考にして比較してみると
何かの気付きが得られるかもしれません。

食事は笑顔が増える時間なので、大切に関わっていきたいものです。

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